こんにちは。臨床工学室のスタッフです。
今回は、新しい医療機器が入りましたので、その紹介と、我々臨床工学技士の関わりについてお話ししようと思います。
今年の5月、PCPSという機器を更新して頂きました。
皆さんはPCPSという機器はご存じですか?初めて聞いたという方が多いかと思います。
PCPSとは、Percutaneous Cardio Pulmonary Supportの略で経皮的心肺補助装置といい、遠心ポンプと人工肺というもので構成されている機器で、心臓と肺の機能を代わりに行っています。
主に心筋梗塞や心臓手術の後などで、心臓の機能が非常に悪く、自分自身の心臓の拍出だけでは全身への血液を循環させることが困難な場合に使用します。
つまり、心臓と肺の補助を行う機器となっています。
実際には、大腿静脈に太さ6~7mm位のカテーテルと大腿動脈に太さ4.5~5.5mm位のカテーテルを挿入して機器と患者さんを繋ぎます。
そして、全身から右心房に戻ってくる静脈血を遠心ポンプの力を利用して吸い取り(引き出し)その血液を人工肺に通して酸素化して大腿動脈から全身に送ります。そうすることで、心臓と肺の補助を行っています。
①遠心ポンプコントローラー
②モーター回転数調節ツマミ:右に回すとモーターの回転数が増加し血液流量も増加、反対に左に回すとモーターの回転数が減少し血液流量も減少します。
③モーター回転数表示:0~3000回転 2199回転(現在の表示)
④血液流量表示:1~ 5.0L/分位 3.32 L/分(現在の表示)
⑤遠心ポンプ:外部モーターにより磁気を使用して遠心ポンプ内の回転体が回転します。これにより、遠心力が発生し、その力で血液を人工肺へ送り込みます。
⑥人工肺:人工肺はとても細いストロ-状の中空糸という酸素と二酸化炭素のガス交換膜を束ねた構造になっています。その中空糸の内側を酸素と空気の混合ガスが通り,中空糸の外側を血液が灌流し,それぞれのガス分圧の差で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われます。人工肺で酸素化された血液は暗赤色(静脈血)→鮮血色(動脈血)に変化します。
我々、臨床工学技士は、PCPSの準備・稼働開始~稼働終了まで携わります。
稼働中は、医師・看護師と協力して心拍数・血圧等に注意しながら機器の装置の操作や監視を行っています。
また、機器の停止等の故障や気泡の混入はいのちに直結しますので、患者様が安全に治療を受けられるように、機器の監視を24時間体制で行っています。
今回は、「新しい医療機器が入りました」ということで、簡単ではありますが臨床工学技士が携わっている仕事の内容を紹介させていただきました。
今後も少しずつ仕事内容について紹介していきたいと思います。