こんにちは。臨床工学室のスタッフです。
皆さんは、血漿交換療法という治療をご存知でしょうか?
初めて聞いたという方も多いかと思います。
今回は、その治療の紹介と我々、臨床工学技士の関わりについてお話ししようと思います。
とその前に、血漿という言葉ですが…
○血液と血漿について
血液は、赤血球や白血球などの血球成分と、それ以外の血漿成分からなっています。
血漿成分には、アルブミン、グロブリン、凝固因子など様々な蛋白が含まれています。
血漿交換療法を行う方はこの血漿中に、病気の原因となる物質(以下、病因物質と呼びます)が含まれています。
○血漿交換とは?
血液中の血漿だけを交換するので血漿交換と呼ばれます。
病因物質を除去するためには、体外に取り出した血液を血漿分離器で血球成分と血漿成分に分離した後、患者さんの血漿を廃棄し、その分を健常な方の血漿で置き換える治療のことを言います。
血漿交換を行うことで、血漿成分に含まれる病因物質を除去することができます。
適応としては、肝臓が機能しなくなったときなど、薬物治療のみでは十分な治療効果が期待できず、血漿交換を行うことにより病状の改善が期待できる場合に適応となります。
つまり、病因物質が血漿成分に含まれていると考えられ、それを血漿交換により除去できると考えられる様々な疾患が対象となります。
○治療方法について
血漿交換を行うには体内の血液を体外に取り出す必要があります。
一般的には頸部や大腿部の太い静脈にカテーテルを挿入し、そこから血液を引いて(脱血)そして戻す(返血)必要があります。
血漿交換を行う際には患者さんはベッドに横になって頂き、約2、3時間かけて1回の血漿交換を行います。
但し、1回の血漿交換で処理される血漿量はおよそ3Lであり、患者さんの血液がすべて置き換わる訳ではありません。
このため、一連の治療として数回繰り返し行う必要があります。
血漿交換の回数については病気の種類や患者さん個人によって異なり、実際、血漿交換の効果を評価しながら決定することとなります。
- ①血液浄化装置
血液ポンプで血液を血漿分離器に送り、新しい血漿と廃棄する血漿の量の調整や圧力等の管理を行っている機器です。 - ②血液ポンプ
回転することで1分間に80~150ml程の血液を循環させます。 - ③血漿分離器
血液中の血球と血漿を分ける膜です。 - ④新鮮凍結血漿
体内に入る新しい血漿です。 - ⑤病因物質が含まれている血漿
体外に出された廃棄する血漿です。
我々、臨床工学技士は、医師の指示の下、看護師と協力し血漿交換の開始と終了のときに装置の操作を行い、治療の際にも患者様が安全に血漿交換を受けられるように、装置の監視を行っています。
今回は、血漿交換療法とは?ということで、簡単ではありますが臨床工学技士が携わっている仕事の内容を紹介させていただきました。
今後も少しずつ仕事内容について紹介していこうと思っています。